税務調査 調査の流れ

調査の流れ(イメージ)

 

 


(1)実地調査の通知(事前連絡)…電話

 

原則、電話で調査の連絡があります。
調査税目(所得税・消費税等)、調査の目的(申告内容の確認など)、調査対象年分(令和2年分から令和4年分の3年間など)、
調査担当者の所属部門・氏名・電話番号・人数、用意していただく帳簿・書類などが一方的に通知されます。
そのうえで、都合の良い調査日を聞かれます。
調査日については、即答する必要はありません。なるべく、即答しない様にします。
「予定を確認して、後日連絡します」と回答します。
この段階で、必要があれば、税理士に相談するのがよいと思います。
なお、既に顧問税理士がいる方は、事前通知は税理士に連絡があるのが普通です。
また、特に飲食店などは、無予告調査が多くなっています。
無予告調査は一定の条件のもと、法律で認められています。
ただし無予告の場合は、仕事(予定)を優先して調査日を後日に延期してもらいましょう。
そのまま調査に応じてしまうと、著しい不利益を受ける場合が多いです。その場で税理士に連絡するのがベストです。
この後、調査着手日までに「自主的に」修正申告書等を提出すると、原則、「重加算税」が掛かりません。

 

 

(2)実地調査の着手(質問検査)…事業所、自宅、税務署等、1日程度

 

個人課税の場合、調査初日は原則として調査官1人で来て、1日(10時頃から4時位まで)行うのが一般的です。
調査場所(自宅、事業所、税務署)や業種や規模によっても異なります。
自宅や事業所で調査を実施するのが大原則で、それは、家族名義の預金の有無を調べたり、引出しの中身やパソコンの中身を見るためです。
事業概況の聴取、取引先、取引金融機関、生活費や趣味、家族の状況などが聞かれます。
その後、帳簿調査となり、請求書、領収書、預金通帳等を検討します。
ただ、一日では終わらないのが普通なので、原則、預金通帳や帳簿書類を借用(留置き)していきます。
個人課税の場合は、法人の調査と違って、現場で数日間調査するという例は少ないです。
帳簿等の借用は法律で認められています。

 

 

(3)調査の途中経過(質問検査)…事業所または税務署、0.5日程度

 

その後しばらくして、税務署から連絡があります。
調査官が署内で検討したところにより(場合によっては銀行調査等をふまえて)、疑問点を指摘します。
即答できるものは即答し、できないものは後日回答します。
また、調査中を通じて、最近は「質問応答記録書」を作成し、納税者の方に署名押印を求める例が増加しています。
これは、個別具体的な質問に対し納税者の方が回答したものを文書化したもので、税務署が証拠として保全するものです。
警察の「取り調べ調書」のようなものです。
この書類を係官が作製しサインを求める場合は、重加算税を賦課し、7年間遡及して課税することを意図しています。
例として、脱税が疑われるが物証(二重帳簿、偽造文書、売上除外メモなど)が発見されない場合、「質問応答記録書」
を脱税の証拠として作成するものです。納税者には何のメリットもなく、コピーもくれません。
この書類は法令に規定のない書類なので、税理士がいる場合は作製そのものを拒否します。

 

(4)取引先調査(状況に応じて)…必要日数

 

必要があれば、仕入先や外注先などの取引先に取引内容を確認します。
ただ、税務署の一般調査では、調査を円滑に行うために、納税者にあらかじめ断るのが普通です。
また、税務署の一部の調査や国税局の調査では通知なく行います。
銀行等の金融機関調査は、かなりの頻度で行いますが、納税者に通知しません。

 

(5)調査結果の仮説明…税務署、0.5日程度

 

それまでの調査結果により、内容の具体的説明があります。
税務署の指摘に対し、正しければ認め、正しくなければ反論します。
税理士がいれば、もちろん税理士が反論します。その反論に対し、調査が継続することになります。
一般的には、この段階で初めて反論するのが賢明です。
これ以前の段階で非協力的な態度や反抗的な態度をとることは、なるべく避けるのが得策です。 
なぜなら、税務職員も人間であると同時に、国税は強力・強大・優秀な組織であるからです。
非協力や反抗的な税理士・公認会計士や納税者には組織で対応してきます。
組織として向かってきた場合、かなり手ごわいです。
その結果、膨大な時間がかかったうえ、マイナスの結果が待っています。
この段階までくれば強く主張してもOKです。
充分に納得できるまで税務署に説明を求め、反論します。

 

 

(6)調査結果の説明(修正申告書等提出勧奨)…税務署、0.5日程度

 

前回の反論や疑問点が解決すると、税務署内部で会議等を開催し、最終結論を出します。
そして、調査結果の説明がされます。
その際、修正申告書の提出をするよう行政指導されます。
修正申告を提出すると調査は修了します。
なお、修正申告しない場合は、税務署が「更正」という税額の通知をしてくる(相当経ってからですが)ことになっています。
そこで、不服があれば別の手続きに移行します。

 

調査の終了までは、通常2か月位かかるのが実情です。個人の場合は、調査担当者は5〜6件を掛け持ち(同時進行)しています。
追加税金の一括納付が困難であれば、納付相談(分割納付)を行います。
また、所得税の修正申告書等の提出は、住民税(都区民税・市県民税)、事業税、国民健康保険料(税)に影響します。